(1) x>1/2で0≦f'(x)<1/2を示せ
(2) 数列{x(n)}を考える。x(0)>0, x(n+1)=f( x(n) )とする。x(0)>1/2ならlim[n→∞]x(n)=1を示せ
とりあえず、グラフがどうなっているかを見てみる。
eなにがしの部分は、0にならないので、考えるのはxが関わる部分。
f'(x)=1/2 + e^(-2x+2){1/2-x}と変形しておいて、x=1に見当をつける。
もちろん、f'(1)=0だが、その周辺はよくわからない。
そこで、もう一度微分してみると、
f''(x)=2(x-1)e^(-2x+2)
だから、f'(1)は最小値だと分かる。(x=1まで下がって、x=1から先上がっていく)
これを考慮すると、グラフの概形が見えてくる。
青:y=f(x), 赤:y=x |
(2)が図の上で何を言っているかといえば、
- あるx軸上の点x(i) (x=x(i)の点)から真上に線を伸ばす
- 青線y=f(x)とぶつかる点(x(i), f( x(i) ) )を取る
- その点から真横に赤線y=xに向かって線を伸ばす
- 交点のx座標は次のx(i+1)の値。
これを何度も繰り返すと、x座標は1に近づいていくのを示せというのが(2)。図的には明らか。
グラフはx>1で単調増加なので、x(0)>1で右から寄ってくるパターンと1/2<x(0)<1で左から寄ってくるパターンが考えられる。分ける必要があるかどうかは後で考えることにして、前者を考えてみる。
(1)でわかったように、y=f(x)の傾きはせいぜいy=xの傾きの半分で、x>1の領域でy=f(x)がy=xの上に来ることはまず無い。ということは、x(i)が順次小さくなっていくことは分かる。その下限は(*2)見たところ1のようだから、まずはそれを示してみる。
x>1のとき、0<f'(x)<1/2であり、f(1)=1であるので、グラフの傾きを考えると、f(x)<x
x(0)>1とすると、x(1)=f(x(0))<x(0)
x(2)=f(x(1))<x(1)<x(0)
...以下同様にして、
x(n)<x(n-1)<..<x(0)
また、1<x(1)=f(x(0))(∵f'(x)>0, x(0)>1)より,順次
1<x(n)<x(n-1)<...<x(0)・・・・(1)
ここまでは分かったが、もしかしたらx(n)が1より大きい値に収束する可能性がまだ残っている*。すると、今度はx(n)と1の差x(n)-1がどうなるかを見てみる必要がありそう。
ところで、1=f(1)であったので、x(n)-1=f(x(n-1))-f(1)とも言える。ここでこの差をΔ(n)としておく。
このようなのを見ると、平均値の定理が頭に浮かぶ・・はず。
{f(x(n-1))-f(1)}/{x(n-1)-1}=f'(c), 1<c<x(n-1)
ということは、Δ(n)=f'(c)x(n-1)-f'(c)
f'(*)は*>1/2なら大きくても1/2ということは、
Δ(n)<1/2(x(n-1)-1)がいえる。
さらにまたところで、右辺の括弧内x(n-1)-1はΔ(n-1)のことだから、
Δ(n)<1/2Δ(n-1)<1/4Δ(n-2)<...<(1/2)^nΔ(0)
Δ(0)=x(0)-1だが、これは定数。右辺をlim[n→∞](1/2)^nΔ(0)とすると、0に収束する。
(1)からx(n)>1なので、これから1を引いたのはΔ(n)>0で、結局Δ(n)は0に収束してくれるので上で指摘した1より大きい値に収束する可能性は否定され、1に収束するされることが確認できた。
では、つづいてx=1の時は、となるが、この場合はx(n)=x(n-1)=...=1なので収束するもなにもなく、1になると断言していい。
最後に1/2<x<1の場合だが、こんどはy=f(x)の下にy=xが来ているので、同様の議論で
x(0)<x(1)<...<x(n)<1は言えるであろう。
最後に収束するのが本当に1なのかを確かめるためにΔ(n)=1-x(n)として、0に収束するかを検証したいのだが、よく見ると、これもx(0)>1の場合と同じ議論でよさそう。符号は違うものの、どうせ0に収束するので関係ないというわけだ。
*11<x(∞)<...<x(n)<...<x(0)であっても、lim[n→∞]x(n)=1.1という場合がある。
*2 下限というのは実は正確ではない。集合{x|1<=x<=10}があったとすると、下限とは1のことで、1より小さい数0とかは下界という。感覚としては下限は「最小値」下界はその最小値「以下の数」なら何でもいいという感じ。ここで言っているのは「下界」の方の意味で、あとからそれが実は「下限」であることを示していく。
x(0)=9の場合の推移(近似値) 画像クリックでアニメーションGIFを拡大表示します。 |
*11<x(∞)<...<x(n)<...<x(0)であっても、lim[n→∞]x(n)=1.1という場合がある。
*2 下限というのは実は正確ではない。集合{x|1<=x<=10}があったとすると、下限とは1のことで、1より小さい数0とかは下界という。感覚としては下限は「最小値」下界はその最小値「以下の数」なら何でもいいという感じ。ここで言っているのは「下界」の方の意味で、あとからそれが実は「下限」であることを示していく。
今回の問題は2005年度東京大学前期試験の理系数学でした。答えの確認には赤本を利用しました。間違いがあるかもしれないので、あらかじめご了承ください。
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