センター試験ではスピードが物を言うので公式丸暗記はいやだとも言っていられない。でも、やっぱり丸暗記はしたくない、という人もいると思う。そこで以前書いた記事をバージョンアップする形で理屈をつけて覚えられる方法を書いてみたい。
前提条件
定義1 被積分関数
被積分関数とは、積分すべき実際の関数のこと。
たとえば、ある区間[a,b]でf(x)≧g(x)≧0なる関数があった場合、y=f(x)とy=g(x),x=a,x=bで囲まれた面積を求める際、被積分関数とは
∫[a→b]{f(x)-g(x)}dx
におけるf(x)-g(x)のことである。
定義2 2乗の係数
被積分関数がxの2次関数であるとき、x^2の係数を2乗の係数と呼ぶことにする
公式1 1/6公式
[証明]
(証明略:被積分関数を展開して各項を積分し、式を整理する)
この公式自体は覚えやすいので、覚えているかもしれないが「いつ、どう使うか」がより重要。
これは何も「x軸とα,βで交わる2次関数とx軸で囲まれた面積」だけに使えるわけではなく、被積分関数がこの形になってさえいれば良い。
すなわち、被積分関数がxの2次関数で判別式D>0であるときこの公式が利用できる。
なおαやβは、直接求めずに、β-αを二次方程式の解と係数の関係から導出したほうが楽な場合がある。ただ、センター試験の場合は交点を問う問題が出た場合、いずれ計算が必要なので、その場合は素直に計算した方が速いこともあるであろう。
例1.1 y=4x2-9とx軸で囲まれた面積は?(2乗の係数に注意)
まず、交点を求める。y=0としてxについて解くと、x=±3/2
被積分関数=4(x-3/2)(x+3/2)
(↑当然のことながらこれは交点を求める段階で分かっている。)
面積S=4×∫(x-3/2)(x+3/2)dx=1/6×4×3^3=18
例1.2 y=x2とy=3x-2で囲まれた部分の面積は?
まずは、略図を書き交点を求める。センターの場合は「交点はx=[ア],[イ]でとる」みたいになることもあるかと思われる
すると、x2-3x+2=0 ⇔ (x-1)(x-2)=0 ⇔ x=1,2
この時の式は方程式であると同時に左辺は被積分関数でもあることに注意。
面積S=∫ (x-1)(x-2)dx=1/6
例1.3 y=2x2-2xとy=4xとで囲まれた部分の面積は?
これも、交点を求める。
2x2-6x=0 ⇔ x(x-3)=0 ⇔ x=0,3
この場合、左辺のx(x-3)はそのまま被積分関数ではないことに注意。2乗の係数「2」で割る前の2x2-6xが被積分関数。
S=2∫x(x-3)=2/6×3^3=9
公式2 1/3公式
公式1が被積分関数のD>0のとき、とするならば、これはD=0のときである。
すなわち、被積分関数がxの2次関数でD=0、かつ積分区間が(被積分関数)=0の重解を始点もしくは終点とする場合、
∫[a→b](x-a)^2 dx=1/3|b-a|^3
ただし、aは重解、bはb∈Rの任意定数
が言える。
[証明]
証明するまでのこともなく自明であるが、
被積分関数は二乗の係数mと重解aを用いて必ずm(x-a)^2の形に書ける(∵D=0)
このとき、
S=| m∫[a→b](x-a)^2dx |=| m/3[(x-a)^3] |=m/3|b-a|^3
[証明終]
実際の積分の所は、数Ⅲを学んだ人ならば問題はないであろう。
数Ⅲを学んでいない人は、以下のように考えれば良い
面積は式全体を平行移動しても変わらないので被積分関数はx^2をx軸方向にaだけ平行移動したものだと考えられる。
これを平行移動前の面積で考えればx^2の積分という容易な計算となる。
このとき、積分区間も-aだけ平行移動するので結局は
x^2を0→b-aの区間で積分したもの、すなわち1/3(b-a)^3になる。
例2.1
y=2x^2を考える。この曲線状の点(1,[ア])における接線はy=[イ]x-[ウ]である。
y=2x^2と接線y=[イ]x-[ウ]、y軸で囲まれた部分の面積Sは、S=[エ]/[オ]である。
[ア]代入すれば良い 2
[イ][ウ]微分して式を整理、y=4x-2
ここで、被積分関数を図形的に考える。
被積分関数は2次関数。かつx=1が重解。さらに2乗の係数は2
(被積分関数)(=2x^2-4x-2)=2(x-1)^2
とりあえずx軸と囲まれる部分を求めると、2/3×1^3=2/3
今度は接線・x軸・y軸で囲まれた残りの三角形は1/2×1/2×2=1/2
よって面積[エ]/[オ]=7/6
答えが間違っていたら連絡ください。オリジナル問題なので・・。
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