単振動
高校の範囲の拡張から話は始まる。バネの単振動(これを大学では調和振動と呼ぶらしい)は運動方程式
mx''=-kx
を解くことに帰着される。2階微分して定数が前に出て、符号反転と来れば三角関数が思いつく。これは2階の微分方程式なので任意定数が2つつく。xの一般解は
x=Asin(ωt+α)
となる。ただしω=sqrt(k/m)であり、角振動数と呼ぶ。Aとαは初期条件から定まるもので、Aを振幅という。αは初期位相。この場合の周期Tは、ωtが2πになるまでの時間であるので、
T=2π/ω
減衰振動
Damped Oscillation
Damped Oscillation
この単振動に速度に比例する抵抗が働く場合を考えてみる。しかし、いつまでもkを使うのは若干難があるため、k=mω2と変えておく。また、比例定数も簡単のために2κにしておく。
mx''=-mω2x-2mκx'
さて、これを解くことになるが、まずは両辺をmで割っておく
x(t) = exp(λt)
としてみよう。微分方程式に入れて得られるλの式は
(i) d=κ2-ω2>0のとき
λ=-κ±sqrt(d) (=λ1,λ2)
よって一般解は
x = C exp(λ1t) + D exp(λ2t)
例として
ω=1.3, κ=1.0, D=1としてC=0.5,1.0,1.5,2.0でグラフを書いてみると以下のようになる。
C=0,-0.5,-1.0,-1.5とすると、
(ii) d < 0 のとき
λ=-κ±i sqrt(d)
一般解を求める
x'' + ω2x + 2κx' = 0
ここでx(t) = exp(λt)
としてみよう。微分方程式に入れて得られるλの式は
λ2+2κλ+ω2 = 0
となる。この解で分類をする(i) d=κ2-ω2>0のとき
λ=-κ±sqrt(d) (=λ1,λ2)
よって一般解は
x = C exp(λ1t) + D exp(λ2t)
例として
ω=1.3, κ=1.0, D=1としてC=0.5,1.0,1.5,2.0でグラフを書いてみると以下のようになる。
C=0,-0.5,-1.0,-1.5とすると、
(ii) d < 0 のとき
λ=-κ±i sqrt(d)
x=Cexp(λ1 t)+Dexp(λ2 t)
=exp(-κt)[ C exp(i sqrt(d)t) + D exp(-i sqrt(d)t) ]
実数部分を使って、
x=Cexp(-κt)sin(sqrt(d)t+φ)
とかける
(*) C,Dをうまく取れば[ ]内をcosだけ、sinだけの実数にはできる。これら2つも解なのだから、これら2つの線形結合も解。cos,sinの線形結合は加法定理でsinに直せる。
これはsinの振幅が指数関数的な変化をすると考えればいい(正確には-κtなので左右逆だが)
κ=1.0, ω=2.5, C=2.5, φ=0としてグラフを書く。
(iii)d=0のとき
解はλ=-κしか存在せず、
x=Aexp(-κt)となってしまう。
しかし、定数は2つ必要なので、これでは不十分。そこで、Aもtの関数であると仮定する。
x'' + ω2x + 2κx' = 0
x' = A' exp(-kt) -k A exp(-kt)
x'' = A'' exp(-kt) -2 k A' exp(-kt) + k^2 A exp(-kt)
これらから、(κ=ωなので)
A''=0
となる。
つまり、
A(t)=Ct+D
よって一般解は
x=(Ct+D)exp(-κt)
ここで、初期条件を指定してみる(ω=κ=1)
x(0)=5→D=5
v(0)=x'(0)=0→x'=Cexp(-t)-(Ct+5)exp(-t)=(C-Ct-5)exp(-t)=0→C=5
とする
見ての通り、設定したとおりにt=0で傾き=初速度=0となっているのがわかる。
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Published 2012.01.18 version1.0 Bironda
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