5 水素原子のSchrodinger方程式
5.1 ハミルトニアン
まずはハミルトニアンを書くことになるが、方針としては
H=(原子核の運動エネルギー)+(電子の運動エネルギー)+(ポテンシャル)
となる。しかし、原子核と電子では質量の差が3桁ほどあり、原子核の運動エネルギーは無視しても良いと考える(Born・Oppenheimer近似)。
5.2 変数分離
極座標に変換して
ψ=f(r)g(θ,φ)
と変数分離を行う。ここでは数式処理のAPIの関係もあってこの解が結局は
とかけることを述べるにとどめる。
このYは特に球面調和関数と呼ばれ、電子の軌道の形を決める重要な要素である。
このYは特に球面調和関数と呼ばれ、電子の軌道の形を決める重要な要素である。
上に述べた関数は3つの量子数n,l,mによって定まる。
- nを主量子数と呼び、自然数全体をとる。nは主に軌道のサイズを決める
- lを方位量子数と呼び、l=0,1,2,...,n-1である。lは主に軌道の形状を決める
- mを磁気量子数と呼び、m=-l,...,0,...,lである。mは主に軌道の方向を決める
5.4 軌道の名前
n,l,mに対応した軌道を簡単に表すために、以下のように表記する。ここでmは考えない。
- nはそのまま書く
- lは数字に合わせて以下のアルファベットを振る。
- 0から順にs,p,d,f,g,h,i,k
- nとlのアルファベットを並べて書く
- 例:n=1,l=0なら1s
- n=3,l=2なら3p
5.5 軌道の形
5.5.1 s軌道
s軌道はl=0,m=0しかとらない。球面調和関数Yは定数なので、これは回転対称性を持った球の形だと分かる。実際は動径方向の関数Rをみると球の内部で波動関数が0になる節面を持つ。
5.5.2 p軌道
l=1,m=0の場合はcosθとあって、φ依存性はない。これはz軸回転対称性があるということで、上の図はxz(もしくはyzでも同じだが)平面での断面を表した。n=2の場合はこれを2pz軌道と呼ぶ
ところで、l=1,m=+/-1の場合は波動関数に虚数が現れる。これは+/-のそれぞれの線形結合をとって適当な定数(虚数でもいい)で割ることで規格化して実数に変換して良い。
この場合も同じような軌道になる。
これらも対称軸をつかって2px,2py軌道と呼ぶ。
与えられた関数を切断した断面を描いた。縦がz軸。これは波動関数をz,rで書いてみた時z^2の項が出てくることから3dz^2軌道と呼ぶ。
一方、m=0以外では、また虚数が出てくるため、線形結合を用いて実数に変換する。結果は
のようになる。この場合はzxの項があるために3dzxのように呼ばれる。
更新履歴
21 Apr 2011 タイトルがあろう事か「量子力学」だったので修正。
ところで、l=1,m=+/-1の場合は波動関数に虚数が現れる。これは+/-のそれぞれの線形結合をとって適当な定数(虚数でもいい)で割ることで規格化して実数に変換して良い。
この場合も同じような軌道になる。
これらも対称軸をつかって2px,2py軌道と呼ぶ。
3pz |
5.5.3 d軌道
d軌道はn=3にならないと出現しない。とりあえず3d軌道についてみてみよう。mは方向を示すといったのでm=0でとりあえず考える。3dz2 |
一方、m=0以外では、また虚数が出てくるため、線形結合を用いて実数に変換する。結果は
3dzx |
更新履歴
21 Apr 2011 タイトルがあろう事か「量子力学」だったので修正。
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